生活習慣病
2018年08月31日更新 2018年08月31日公開

肝炎(肝臓の数値に問題がある人)の食事や生活上の注意点

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓。機能が低下しても自覚症状を感じにくいため、障害が進まないように生活習慣での対策が重要です。健康診断などで肝臓の数値がよくないと診断された人が気になる、肝臓に負担をかけない食事や生活のポイントを紹介します。

肝臓が悪くなる原因といえば、お酒のイメージが強いかもしれませんが、ウイルス性のものや、服用した薬によって肝臓の機能に障害を起こす薬剤性のものもあります[1]。お酒を飲む人も飲まない人も肝炎になることがあるため、普段から肝臓に負担をかけない生活を心がけましょう。

肝炎が気になる人の食事・生活上の注意点

肝炎は大半がウイルスを原因とするものですが、生活習慣の乱れから起こるものもあります。代表的なものがアルコールの飲み過ぎが原因の「アルコール性肝炎」と、お酒を飲まないのに起こる「非アルコール性肝炎」です。食事や生活面で気をつけるべきポイントを見ていきましょう。

アルコールの飲み方を見直す

長期にわたり、飲酒を続けていると、アルコール性の肝臓障害が起こります。肝臓に障害を起こす基準(アルコールの摂取目安量と期間)とは、日本酒で3合、ビールで大びん3本、ウイスキーでダブル3杯を5年以上飲む生活を続ける、というものです。女性の場合はその3分の2が基準となります。

アルコール性肝炎と診断された人のほとんどがアルコール依存症であるといわれており、一時的に禁酒して状態が改善しても、また飲酒を再開すると肝硬変に進みます。

そのため、肝機能が低下しているといわれたときは、飲酒習慣を見直すことが大切です。以下のポイントに気をつけましょう[2]。

  • 1日のアルコール量を日本酒で1合以内、ビール中瓶1本以内とする
  • 週に2~3日は休肝日にする
  • 空腹でお酒を飲まない
  • アルコール濃度の高いものは水割りなどで薄めて飲む
  • ゆっくり飲む
  • はしご酒やチャンポンは飲酒量が増えるので避ける
  • 二日酔いになったら迎え酒はしない

アルコール性肝炎の場合は低栄養を改善する

アルコールの多飲によって肝臓の働きが低下すると、栄養不足に陥ります。肝臓は通常、エネルギーの元となる糖分を蓄えて必要なときに身体に供給します。しかし、肝臓の働きが低下すると、エネルギーを供給できなくなるのでエネルギー不足の状態になるのです。さらに、これにより身体は筋肉や脂肪からエネルギーを補おうとするため、体重が減ってしまいます。

アルコールによって肝臓機能が低下している人は、筋肉や脂肪が消費されないように、タンパク質や炭水化物の補給が必要となります。また、アルコールを多飲する人は、通常の食事をきちんと食べてないことがあり、そちらも栄養不足につながります。

三大栄養素だけでなく、不足しがちなビタミンA、B、D、葉酸、亜鉛などミネラルにも配慮し、さまざまな食材を偏りなく用いた食事をとるように心がけることが大切です。

非アルコール性肝炎では糖質・脂質の摂取に気をつける

非アルコール性肝炎では、お酒を飲まないのに、お酒を飲んだ時と同じような脂肪性肝炎を起こします。摂取カロリーが消費カロリーを上回っていることが主な原因と見られていますが、腸内環境の変化や活性酸素による酸化ストレスなども関わっているといわれています。

そのため、食べ過ぎに気をつけ、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。標準体重(BMI)あたり総カロリーは25〜35kcal/kg・日、タンパク質1.0〜1.5g/kg・日を基準にします[3]。動物性の脂肪や果糖・砂糖を多く含む清涼飲料水などの飲み過ぎに気をつけ、その他の栄養素はまんべんなく摂るようにします。

肝臓をいたわる食事については、『脂肪肝を改善する食事のポイント』も参考にしてください。

適度な運動を取り入れる

非アルコール性肝炎の予防には、メタボリックシンドローム対策と同じで、運動も効果的です。できれば有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳など)を週3~4回、30分以上行うようにしましょう。スクワットやヨガなどの軽い運動でも、筋肉量を増加させ基礎代謝量を上げるので有効です。

運動中はこまめに水分補給し、運動後は筋肉量を増加させるためにタンパク質を補給します。激しい運動を行う必要はありません。運動しながら会話ができ、少し汗をかく程度で大丈夫です。

過労を避け、睡眠を十分にとる

肝臓の病気を悪化させないためには、食事や運動も大切ですが、休息も大切です。運動をしても翌日に疲れが残るようではいけません。食後は消化と吸収のために、胃腸や肝臓が活発に働いている時間帯ですから、食後1~2時間は楽な姿勢で安静にしていましょう。

食事直後の入浴は避け、ぬるめのお湯で短く切り上げます。入浴や運動後も、静かにゆったりとする時間を持ちましょう。

睡眠は規則正しくとり、昼寝をするときには、夜、眠れなくなるようなことがないよう長く寝すぎないように注意してください。

ストレスは不眠や消化不良などの原因になり、肝臓への負担が高まります。疲れたら早めに休息をとったり、うまく気分転換をして、ストレスがたまらないようにしましょう。

まとめ

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の病気は、自覚症状が出てからではかなり進行している場合があるため、早期に生活習慣を改善することが大切です。そのためには、次のようなことに注意してください。

肝機能数値に異常があれば専門医に相談する
健康診断ではAST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTPの数値を見て、肝機能が低下していないかどうかチェックし、異常があったら専門医に相談しましょう。
お酒は適量を保つ
お酒の飲み過ぎはもちろん、少量でも毎日飲み続けるのは肝臓に負担がかかります。週に何日かは休肝日を設けてください。
栄養バランスのよい食事を心がける
肝臓の機能が低下すると、エネルギー不足や栄養の偏りが出てきます。食べすぎに注意しながらも、3大栄養素を中心に、しっかりと栄養を摂りましょう。

参考文献

  1. [1]岡山県肝疾患診療連携拠点病院ほか. "患者さんのための肝臓病ガイドブック" 岡山大学病院 岡山県肝炎相談センター. http://kanen.ccsv.okayama-u.ac.jp/center/pdf/guide_book.pdf(参照2018-08-09)
  2. [2]柿崎 暁. "検診で異常を指摘されたらどうしますか?-肝機能検査-" 日本消化器病学会.
  3. http://www.jsge.or.jp/citizen/2010/kanto.html(参照2018-07-10)
  4. [3]酒井 浩徳. "健康な肝臓は食事とライフスタイルから" 日本消化器病学会.
  5. http://www.jsge.or.jp/citizen/2007/kyusyu2007.html(参照2018-07-10)

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