生活習慣病
2018年09月10日更新 2018年08月31日公開

膵炎(すい炎)のときの食事や注意すべき生活習慣

膵臓(すいぞう)は胃の後ろにある臓器で、消化酵素やインスリンホルモンなどを分泌しています。食後や飲酒後にみぞおちの奥に激痛が起こる急性膵炎は、生活習慣病と関連の深い病気です。ここでは、膵炎の原因と悪化を防ぐ食事法を解説します。

飲食後に、みぞおちのあたりが激しく痛み、吐き気やおう吐が続く…。これは、胃の後ろ側にある膵臓の炎症、「急性膵炎(きゅうせいすいえん)」の典型的な症状です。

膵臓は消化酵素を含んだ膵液の分泌や、血糖値を調整するインスリンなどのホルモンを分泌する大切な役割をしている器官です。アルコールの飲み過ぎや胆石症、血液中の中性脂肪値が高いことなどが原因で炎症を起こすことがあります。ここでは膵炎と診断されたときの食事や生活改善のポイントなど、膵臓をいたわる方法を紹介します。

膵炎のときの食事のポイント

膵炎と診断されたら、まず、膵臓を休ませるために入院して、絶食する必要があります。点滴で水分を補ったり流動食で栄養を摂取したりした後に、健康状態に応じて少しずつ普通の食事に戻していきます。

再発を予防するためには、食生活を中心にした生活改善が大切です。以下に、日常生活で心がけたい食事のポイントについて説明します。

アルコールの摂取はNG

アルコールの飲み過ぎが膵炎を引き起こすしくみは、まだはっきりとはわかっていません。しかし、アルコールは膵臓を刺激し、膵液の分泌を過剰にしたり、膵液の通り道である膵管を狭めるなどして膵臓の細胞や機能に悪影響を及ぼすと考えられています[1]。

アルコールが原因で膵炎を起こした人が再発を予防するには、アルコールを断つことがもっとも効果的です。アルコールによる影響が少ないと考えられるケースでも、飲み過ぎを防ぐために、「適量」を守ることが大切です。適量とは、日本酒なら1合以下、ビールなら中ビン1本以下、焼酎なら200mlのコップ半分以下を指します[2]。

慢性的な膵炎ともなるとアルコールが原因となっていることがほとんどで、お酒がやめられないアルコール依存症の人も多く見られます。慢性膵炎が進行すると食べ物の消化や血糖値の調節がうまくいかなくなり、糖尿病を併発することもあります。アルコールが原因の膵炎との診断を受けたら、きっぱりと断酒をするためにも依存症治療の専門機関を受診することをおすすめします[2]。

脂肪分の高い食事を控える

脂肪は消化に時間がかかり、膵臓への負担を大きくします。腹痛がある場合は、脂肪の摂取はできるだけ控えましょう。食事からの脂肪摂取量を、1日あたり30g程度に制限します。

外食の中華やパスタ、カレーなどには、油が多く使われているものが少なくありません。食べた後に調子を崩さないよう、量を控えるなど普段から気をつけてください。

避けたほうがいい食べ物の例
油を多く使った揚げ物や炒め物、脂身の多い肉(バラ肉、鶏皮、ベーコンなど)、脂ののった魚(サンマやサバ、ウナギなど)、油の多いドレッシング、ポテトフライやポテトチップスなど油を使ったスナック類、バターや生クリームを多く使った洋菓子(アイスクリーム、ケーキ、クッキーなど)など。
 
高カロリーの食事や不規則な食生活は、胆汁の中のコレステロール成分を凝固させて胆石を作ることがあります。胆管と膵管は共通の出口を持っていますが、この出口に胆石がつまると、膵臓に膵液が溜まるとともに、肝臓で作られた胆汁が膵管に逆流し、急性膵炎を引き起こすことがあります。胆石症を防ぐためにも、脂肪分の多い食べ物は控えるようにしましょう。

胆石症の食事療法については『胆石症の食事療法|症状と原因から見る対策』もあわせてご覧ください。

油を使わない調理法をとり入れる

脂肪をできるだけ抑えるため、調理も工夫が必要です。煮る、蒸す、ゆでる、電子レンジを使うなど、油を使わない調理法がおすすめです。肉や魚は脂の多い部分をあらかじめカットしたり、脂肪の少ない部位を活用。焼くことで素材の油を落とすこともできますし、油揚げや厚揚げはあらかじめ熱湯をかけて油抜きしましょう。

良質なタンパク質を摂る

三大栄養素であり、血液や筋肉など体をつくる主要成分であるタンパク質は、膵臓にとっても大切です。脂肪分の少ない食材から、良質なタンパク質を摂るようにしましょう。

良質なタンパク質を多く含む食材とは
タンパク質は肉類、魚介類、牛乳・乳製品、卵類や大豆・大豆製品などに多く含まれています。これらはアミノ酸がバランスよく含まれているものですが、その中でも老廃物となるものが少なく、体内で利用しやすい大豆や卵、牛乳などが望ましいでしょう。また、乳製品で摂る場合は、脂肪分をカットしたヨーグルトやスキムミルク、カッテージチーズなどもおすすめです。

野菜・果物類は繊維の少ないものを

ビタミン類を補うためにも野菜や果物をとることは大切ですが、繊維の多い部分は消化に時間がかかるため、膵炎の痛みがあるときは、できるだけ避けるようにしましょう。また、脂肪の摂取を控えている分、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)が不足する可能性があります。緑黄色野菜や卵、きのこ、しらす干し、納豆などを積極的にとるようにしましょう[3]。

甘いものを避ける

血中の中性脂肪が高いことで膵炎を発症した場合は、アルコールや脂肪とともに甘いものを避けることも必要です。砂糖をたっぷり使った菓子や清涼飲料水はできるだけ控え、食事のときに少量だけを楽しむなど食べ方も工夫しましょう。フルーツにも果糖が多く含まれているため、食べ過ぎには気をつけてください。

カフェイン、刺激物もできるだけ避ける

カフェインや炭酸飲料、香辛料など胃腸を刺激するものは、膵液の分泌を活発にします。控える方がよいです。

コーヒーや紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶などカフェインを含む飲み物は1日1杯程度にとどめましょう。なお、麦茶や黒豆茶、ハーブティー、タンポポ茶などはカフェインを含まないので問題はありません。

生活習慣における注意点

膵臓が弱っているときは、生活習慣においても心がけたいことがあります。

タバコをやめる

喫煙は慢性膵炎の発症リスクや、膵管内に結石を生じるリスクを高めます。一方で、禁煙することにより慢性膵炎の進行を抑制する可能性も指摘されています[4]。喫煙が習慣化している生活パターンや環境を改善する、喫煙の代わりになる行動をとり入れるなどして、徐々にタバコをやめるよう心がけましょう。

睡眠を十分にとる

睡眠不足は膵臓に負担をかけます。夜ふかしは避け、十分な睡眠をとるようにしましょう。また、不規則な食事や運動不足、お酒の飲み過ぎやタバコの吸いすぎは睡眠の質を悪化させ、心身の健康に影響を与えます。規則正しい生活リズムや適度な運動をとり入れ、睡眠の質を向上させましょう。

疲労・ストレスを避ける

強いストレスを受けたり、過労でストレスをためることは、生活習慣病の大きな要因になります。膵炎は糖尿病や膵臓がんをはじめとする悪性腫瘍を合併する率が高いので、一度膵炎と診断されたら、ストレスをためない生活を心がけましょう。

まとめ

膵臓にとって大きな負担になるのが、暴飲暴食や刺激の強い食べ物や飲み物などです。普段から満腹になるまで食べている人や、アルコールを飲む人は要注意です。

膵炎を放置していると消化不良により栄養状態が悪化し、糖尿病や膵がんなどのリスクを高めます。日頃から食生活や生活習慣に気を配ることで、重症化を防ぎましょう。

参考文献

  1. [1]知って得する病気の知識. "すい炎" 日本医師会ホームページ. https://www.med.or.jp/chishiki/suien/003.html(参照2018-07-09)
  2. [2]丸山 勝也. "アルコールとすい臓病" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-003.html(参照2018-07-09)
  3. [3]患者さんとご家族のためのガイド. "慢性膵炎" 日本消化器病学会ガイドライン. https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/suien_2.html#q6(参照2018-07-09)
  4. [4]日本消化器病学会. "慢性膵炎 診療ガイドライン2015 改訂第2版" 日本消化器病学会ホームページ. https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/mansei2_re.pdf#page=86(参照2018-07-10)

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