生活習慣病
2018年06月28日更新 2018年06月29日公開

動脈硬化を毎日の食事で予防するポイント

高血圧や脂質異常症は動脈硬化を引き起こし、やがては心臓や脳、腎臓などに大病を引き起こすことがあります。この記事ではドクター監修のもと、毎日の食事で動脈硬化を予防するポイントを中心にご紹介します。

青魚

健康診断で血圧やコレステロール値、中性脂肪値などが高いと、動脈硬化の進行が気になります。動脈硬化とはどのような症状で、放置するとどうなってしまうのでしょうか。この記事では、動脈硬化を予防する食事のポイントを中心にご紹介します。外食が多い人へのアドバイスもありますので、ぜひ参考にしてください。

動脈硬化とは?原因や危険因子

動脈硬化とは、血管の壁が老化して硬く・もろくなったり、血管の内側に脂質のかたまりがこびりついて血液の流れが悪くなった状態を意味します。

動脈硬化の原因はひとつではなく、加齢をはじめ塩分やコレステロールの多い食生活、運動不足や喫煙習慣、ストレスなど、複数の要因が重なり合うことで進行が早まります。なかでも気をつけたい危険因子は、以下の5つです。

  • 高血圧
  • 高脂血症(脂質異常症)
  • 喫煙
  • 肥満
  • 糖尿病

動脈硬化が引き起こす病気

心臓をとりまく冠動脈や脳動脈、内臓・頚部・手足の動脈などでは、血管の内側にコレステロールなどの脂質からなるドロドロとしたおかゆ状の物質がこびりつき、しだいに血管が狭くなっていく「粥状(じゅくじょう)動脈硬化」がよく起こります。この動脈硬化が悪化すると血管内部に血栓や潰瘍がくり返し作られるようになり、以下のような病気が起こりやすくなります。

  • 脳・・・脳梗塞、脳出血
  • 心臓・・・狭心症、心筋梗塞、心不全、心肥大
  • 腎臓・・・腎硬化症、腎不全
  • その他・・・大動脈瘤、眼底出血、手足の末梢動脈疾患など

動脈硬化を予防・改善する食事のポイント

動脈硬化を予防・改善するには、毎日の食事や生活習慣を見直し、先にあげた肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病などを未然に防ぐことが大切です。

適正体重をキープする

健康な毎日をおくるうえで、肥満の予防はとても重要です。毎日、食事から摂取するエネルギーが消費エネルギー(活動量)を上回らないよう気をつけ、適正な体重を維持しましょう。

適正な体重を割り出すには、BMI(Body Mass Index)という計算式を使用します。以下のリストのように、BMIが25を越えないように気をつけましょう[1]。

BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

  • やせ・・・BMIが18.5未満
  • ふつう・・・BMIが18.5以上~25未満
  • 肥満・・・BMIが25以上

1日に必要なエネルギー量についても、BMIを応用して求めることができます。まず、下記の計算式で標準体重を求め、ワークスタイル別に、1日に必要なエネルギーをかけて算出します。

標準体重(kg) = 22 × 身長(m)× 身長(m)

ワークスタイル別・標準体重1kgあたりの必要エネルギー(1日分)

  • 軽労働(デスクワーク中心のオフィスワーカーや技術者、管理職など)・・・25-30kcal
  • 中労働(外回りの多い営業マンや店員・工員など)・・・30-35kcal
  • 重労働(農業や漁業従事者、建設作業員など)・・・35kcal

1日に必要なエネルギー(kcal)= 標準体重(kg)×上記リストのいずれか(kcal)

ダイエットを行うときは極端な食事制限をするのではなく、1日あたりの摂取エネルギーが上記を超えないように上手に食べ、適度な運動などもとり入れながら健康的に減量するのがよいでしょう[2]。

コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える

脂質(油)は私たちの身体の材料となったり、身体を動かすエネルギー源として使われる大切な栄養素です。しかし、脂質のなかには、摂りすぎると生活習慣病のリスクを高めるものがあります。コレステロールや飽和脂肪酸といわれるものです。

コレステロールや飽和脂肪酸は、肉の脂身やレバーなどの臓物、バラ肉やひき肉、鶏の皮、乳製品や卵黄、バターやラードなどに多く含まれます。トランス脂肪酸を含む油を使った揚げ物やドーナツ・スナック菓子や、生クリームをたっぷり使った洋菓子などもなるべく控えるようにしましょう。

青魚などから不飽和脂肪酸を積極的に摂る

青魚に多く含まれるEPAやDHA、アマニ油などに含まれるα-リノレン酸などのn-3系多価不飽和脂肪酸や、大豆油・コーン油など植物油に多いリノール酸などのn-6系多価不飽和脂肪酸は、血中の悪玉(LDL)コレステロールを減らしたり、血圧を下げたり、血栓を防ぐ効果などがあり、積極的に摂りたい脂質です。ただしこれらの油は熱や光・空気で変性しやすいので、ドレッシングに使用するなど上手に活用しましょう[3]。

野菜や果物、海藻などから食物繊維をたっぷり摂る

食物繊維は血糖値の上昇を防いだり、血中コレステロールの濃度を低下させたり、腸内の善玉菌を増やして便秘を改善するなどさまざまな働きを担っており、積極的に摂取したい成分です。日本動脈硬化学会では1日あたり25g以上摂ることが推奨されていますので、豆類や野菜類、フルーツ、きのこ類、海藻類などからたっぷりと摂るようにしましょう。主食では白い米よりも玄米や胚芽精米、白パンよりも全粒粉パンを選ぶと、食物繊維を多く摂ることができます[4]。

塩分の摂りすぎに注意

塩分を摂りすぎると体内の水分量が増え、血流の増加を招いて血圧を上げる大きな要因となります。日本では塩分の摂取が多いことが問題になっており、厚生労働省や日本動脈硬化学会では、高血圧の人に対して1日あたりの塩分摂取を6g未満とすることを推奨しています[4][5]。

減塩について詳しくは、『高血圧の食事ポイント|血圧を下げる「減塩・かるしお」のすすめ』をご覧ください。

食べ方のポイント

大食い・早食いなど食習慣の乱れが日常化していると、胃腸に負担をかけ、肥満や生活習慣病を引き起こすおそれがあります。日々の食生活では、以下のようなポイントを意識することも大切です。

  • 1日3食を規則正しく食べ、腹八分目でとどめる
  • よく噛んでゆっくり食べる
  • 寝る前に食べたり飲んだりしない
  • テレビなどを見ながら「ながら食い」をしない(噛む回数が減ったり、大食いにつながるため)
  • 外食はできるだけ控える(高カロリー・高塩分メニューの誘惑が多いため)

外食やコンビニの利用が多い人へのアドバイス

旬の食材や「うま味」を上手に活用し、一汁三菜を基本とする伝統的な和食は、動脈硬化の予防に有効とされています。しかし、現代のライフスタイルでは仕事や家庭環境から、1日3食をきちんと調理して食べることが困難な人も多いことでしょう。ここでは外食やコンビニを上手に活用する方法についてご紹介します。

レストランやファストフード店を利用する際のポイント

外食では、主食・主菜・副菜がきちんととれる定食を選んだり、メインの他に野菜の小鉢やサラダなどをプラスすることがおすすめです。

トランス脂肪酸が多く高カロリーな揚げ物や、塩分が多いラーメンやうどんなどの麺類、野菜の少ない丼物・寿司などはなるべく避けたいメニューです。メニューにカロリー表示や栄養表示成分が書かれている場合は必ずチェックし、カロリーや塩分を摂りすぎていないか注意しながら選びましょう。

職場の近くなどよく行くスポットでは、減塩メニューを用意している店や、ミニサイズのメニューを用意している店、定食のごはんを玄米や雑穀米に変更できる店など、ヘルシーに食べられる店を複数覚えておくとよいでしょう。

またドリンクバーやサラダバーがある店では、糖分の多い炭酸飲料やジュース類を飲みすぎたり、ドレッシングをかけすぎないように注意しましょう。

コンビニを利用する際のポイント

コンビニで食事を選ぶ際も、主食・主菜・副菜を意識し、栄養バランスよく食べることが大切です。たとえば雑穀入りのおにぎりを主食に、タンパク質が摂れるサラダチキンを主菜にし、野菜のサラダやミニ惣菜を副菜としたり、副菜の代わりに具だくさんの豚汁を選ぶのもよいでしょう。

野菜不足を感じるときは、塩分控えめ・糖分控えめの野菜ジュースで補ったり、カット野菜を購入して自宅での調理に活用するのもおすすめです。また、タンパク質不足のときは、豆乳やヨーグルト、プロテインバーなどで補うとよいでしょう。

最近のコンビニは品揃えも豊富で、減塩・低糖質・低カロリーな食品や、特定保健用食品(トクホ)のドリンクなど健康を意識した商品を多く取り扱うようになってきています。毎日の健康や体調に合わせて、上手に活用しましょう。

まとめ

動脈硬化は加齢や偏った食生活、喫煙や運動不足などさまざまな要因が重なることで進行しやすくなります。特に肥満や高血圧・高脂血症、糖尿病などは動脈硬化の危険因子として、日ごろから気をつけたいものです。

毎日の食事においては1日3食をバランスよく食べ、肥満を防ぎましょう。また塩分が多い食事や高脂肪・高カロリーの食べ物などを控え、野菜を中心に食物繊維をたっぷり摂ることも大切です。

動脈硬化を防ぐカギは、日々の食事をはじめとする生活習慣の改善にあります。薬物による治療を行っている場合でも、毎日の生活習慣が乱れていると十分な治療効果が得られません。病気や栄養について正しい知識を得て、根気よく続けていきましょう。

参考文献

  1. [1]農林水産省. "みんなの食育 適正体重の維持" 農林水産省. http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_06.html(参照2018-05-10)
  2. [2]三好 美紀. "肥満と健康" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html(参照2018-05-10)
  3. [3]厚生労働省. "不飽和脂肪酸" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html(参照2018-05-10)
  4. [4]由田 克士. "栄養・食生活と高血圧" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html(参照2018-05-10)
  5. [5]動脈硬化の病気を防ぐガイドブック. "栄養・食生活と高血圧" 日本動脈硬化学会. http://www.j-athero.org/guide/chiryo/index.html(参照2018-05-10)

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