生活習慣病
2018年06月28日更新 2018年06月29日公開

高血圧の食事ポイント|血圧を下げる「減塩・かるしお」のすすめ

高血圧を食事で予防・改善するには、「減塩」を行うことが何よりも大切です。この記事ではドクター監修のもと、高血圧の基礎知識や、毎日簡単に実践できる減塩のコツ、塩をかるく使っておいしさを引き出す「かるしお」調理についてわかりやすくご紹介します。

塩

健康診断などで「血圧が高い」といわれて心配になったことはありませんか。血圧が高い状態が続くと血管がダメージを受け、それがもとで動脈硬化が進んだり、脳や心臓、腎臓などにさまざまな合併症を引き起こすことがあります。

高血圧を予防・改善するには、塩分を控えることがもっとも大切です。ここでは、減塩をはじめ日ごろの食事のポイントについて解説します。

高血圧とは?

心臓から流れる血液が、血管を押す力のことを血圧と言います。血圧は心臓がぎゅっと縮んで血液を押し出すときにもっとも高くなり、心臓が拡がりきって血液の流れがゆるやかになるともっとも低くなります。前者を最高血圧(収縮期血圧)、後者を最低血圧(拡張期血圧)と呼びます。

血圧は常に変動しており、一般的に目覚めとともに上昇し、日中は高く、夜間や就寝中は低くなります。また、夏よりも冬場に高くなるなど気温による影響もあります。しかし、くり返し測定しても常に正常値より高いときは、高血圧と診断されます。

「高血圧症」の診断基準

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」によると、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上で高血圧と診断されます[1]。

2010年の国民健康・栄養調査では、30歳以上の日本人男性の60%、女性の45%が高血圧と判定されています[1]。

高血圧症が引き起こす病気

高血圧が続くと、本来は弾力やしなやかさを保っていた血管の壁が硬くもろくなったり、内側にコレステロールなどが溜まって血液の通り道が狭くなることがあります。こうして動脈硬化が進むと、やがては脳や心臓、腎臓などに負担をかけ、以下のような合併症につながるおそれがあります[2]。

  • 脳・・・脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血
  • 心臓・・・狭心症、心筋梗塞、心不全、心肥大
  • 腎臓・・・腎硬化症、腎不全
  • その他・・・大動脈瘤、眼底出血など

このような合併症を防ぐためにも、血圧が高めの人は日ごろから食生活や生活習慣の見直しを行うことが大切です。

高血圧を予防・改善する食事のポイント

高血圧を予防・改善するには、適正な体重を維持すること、栄養バランスの取れた食事を1日3食規則正しく食べることが大切です。なかでも心がけたいポイントについて、以下で詳しくご紹介します。

減塩や「かるしお」を心がける

高血圧対策といえば「減塩」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実際のところ塩分の摂りすぎは、体内に水分を蓄積させて血流を増加させ、血圧を上げる大きな要因になります。

健康な成人男女の場合、1日あたりの塩分摂取目標はそれぞれ8g未満(男性)と7g未満(女性)となっています。また、すでに高血圧と診断されている方は、1日あたり6g未満とすることが推奨されています[3]。特に外食や市販惣菜の利用が多い人、加工食品やインスタント食品・塩蔵品が好きな人、麺類のスープも全部飲んでしまう人などは、塩分の摂りすぎに気をつけ、すぐできる減塩対策を試してみましょう[4]。

すぐできる減塩のコツ

  • 塩分を多く含む食品をとるときは、1回に食べる量を減らす
  • 麺類や汁物は1日1杯以下に。麺類の汁は飲まない
  • しょうゆなどの調味料は減塩タイプにする。「かける」のではなく「つける」にする
  • 濃い味付けが好きな人は、酢や香辛料・香味野菜を風味づけに活用する
  • 煮物以外の調理法(焼く・炒める・蒸す・和える・揚げるなど)も組み合わせる
  • 鰹節や昆布などの天然素材で濃いめの出汁をとって活用する
  • 調味料を使うときは、目分量や味覚まかせにせず計量する
  • 加工食品や市販食品は、パッケージの「塩分相当量」をチェックする
  • 外食が多い人は回数を減らす、もしくは漬物・汁物など塩分の多いものを残す

また、家庭料理で減塩を実践するとなると、家族から「味がものたりない」などといわれ、続けにくいものですよね。

そこで大きなヒントとなるのが、国立循環器病研究センターが提唱する「かるしお」プロジェクトです。同センターの特設サイトには、病院食を参考にした「塩をかるく使っておいしさを引き出す」方法や効果的な出汁のとり方、減塩レシピが紹介されています。ここでは、「かるしお」調理のコツの一部をご紹介します[4]。

かるしお調理のコツ(一部)

  • 調味料を出汁で割って活用する
  • 塩分を多く含む食品は、あらかじめゆがいて脱塩する
  • うま味のでる食材を活用し、香辛料や油を上手に使う
  • 旬の食材や新鮮な素材を活用する

こうした調理のヒントは高血圧だけでなく、生活習慣病全般の対策にもなりますので、ぜひ活用してみてください。

野菜や果物からカリウムを多く摂取

野菜や果物、海藻類、豆類には、ナトリウムの排出を促すなどして血圧を下げる効果があるカリウムが多く含まれています。特に食塩(塩化ナトリウム)の摂りすぎが気になる場合は、カリウムを多く含む以下のような食材を積極的に食べましょう。

  • ヒジキやノリ
  • バナナ
  • 切干ダイコン
  • ドライトマト
  • マイタケ
  • きな粉

ただし、腎臓の病気がある人はカリウム摂取量が制限されるケースがありますので、気をつけましょう。

コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える

動物性の脂肪は血液中のコレステロールを増やし、動脈硬化を悪化させます。脂身のついた肉やバター、ラード、生クリームをたっぷり使った洋菓子などはなるべく控えるようにしましょう。

一方、動脈硬化の予防にはEPA(n-3系多価不飽和脂肪酸)を多く含む青魚や、n-6系多価不飽和脂肪酸の多い大豆食品の摂取がおすすめです。

アルコールはほどほどに

少量の飲酒は一時的に血圧を下げることもありますが、長期間にわたって過度に飲み続けると、高血圧症のリスクを上げることがわかっています。高血圧が気になるのであれば、男性は純アルコール摂取量を1日30mlまで、女性はその半分程度にとどめましょう[5]。各種アルコール飲料に換算すると、以下が目安となります。

  • 日本酒・・・1合(180ml)
  • ビール中びん・・・1本(500ml)
  • ウイスキー水割り・・・ダブル1杯(60ml)
  • ワイン・・・1/4本(約180ml)
  • 缶チューハイ・・・1.5缶(約520ml)

また、週に1回以上は休肝日を設けましょう。

まとめ

高血圧には、自覚症状がほとんどありません。しかし、症状がないからと放置していると動脈硬化やさまざまな合併症を引き起こすおそれがありますので、日ごろから家庭用血圧測定器を活用するなどして数値をチェックするとよいでしょう。

今回ご紹介した食生活における注意点とあわせて、十分な睡眠と休養をとる、肥満を解消する、適度な運動をとり入れるなどして高血圧の予防・改善につとめましょう。ただし、高血圧が進行している人は、主治医のすすめに従って治療や生活習慣改善を行うようにしてください。

参考文献

  1. [1]日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会. "高血圧治療ガイドライン2014" 日本高血圧学会. http://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014v1_1.pdf(参照2018-05-10)
  2. [2]宮崎 滋ほか. "高血圧症" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html(参照2018-05-10)
  3. [3]由田 克士. "栄養・食生活と高血圧" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html(参照2018-05-10)
  4. [4]循環器病情報サービス. "美味しく減塩 “かるしお” のすすめ" 国立循環器病研究センター. http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph118.html#anchor-4(参照2018-05-10)
  5. [5]循環器病情報サービス. "飲酒、喫煙と循環器病" 国立循環器病研究センター. http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph32.html(参照2018-05-10)

「生活習慣病」の関連情報

記事カテゴリ