生活習慣病
2018年08月01日更新 2018年08月01日公開

ヨーグルトを食べて血糖値が下がる?糖尿病になりにくい?

腸内環境を改善するなど、健康効果が知られているヨーグルトですが、糖尿病の予防にも効果が期待されていることをご存知でしょうか?ここでは血糖値が上がるメカニズムともに、糖尿病の予防・改善とヨーグルトとの関係についてご紹介します。

血糖値の上昇を抑えてくれるヨーグルト

牛乳やチーズなどの乳製品には、「健康に役立ちそう」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。なかでもヨーグルトは乳酸菌の働きで、腸内環境を整えることが知られていますよね。さらに、近年の研究によって、ヨーグルトは糖尿病発症の要因となる食後の血糖値の上昇を抑えたり、インスリン抵抗性を改善することがわかってきました[1][2]。ここでは、ヨーグルトの糖尿病予防効果についてご紹介します。

血糖値が高くなる原因とは?

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のこと。食事をすると、ブドウ糖になる栄養素が血液に乗って全身に届けられるため、血糖値は誰でも一時的に高くなります。しかし、血糖値の上昇が急激すぎたり、下がるのが遅く、2時間以上高値のまま続いたりすると問題です。

血糖値が高い状態が続くと、糖尿病と診断されます。糖尿病になると、全身の血管がダメージを受けて、さまざまな合併症を引き起こします。細い血管がダメージを受けると、網膜が障害を受けて視力低下や失明のおそれがある「糖尿病性網膜症」、腎臓の働きが悪くなる「糖尿病性腎症」、手や足がしびれたりする「糖尿病性神経障害」という、糖尿病の3大合併症などを引き起こします。

また、動脈がダメージを受けると、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気のリスクが高まります。

血糖値は、すい臓から分泌される「インスリン」と「グルカゴン」などのホルモンによって一定に保たれています。食事をして血糖値が上がるとインスリンが働き、ブドウ糖を身体の細胞にとり込んでエネルギー源として使うほか、余分なブドウ糖はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯えることで血糖値を下げます。

一方、空腹になって血糖値が下がると、グルカゴンなどが働きます。肝臓などに貯蔵したグリコーゲンをブドウ糖に分解してエネルギーとして使うことで、血糖値を正常に戻します。

血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。そのため、インスリンの分泌量が足りなかったり、インスリンの効きめが悪かったりすると、血糖値が高いままになってしまいます。インスリンの分泌量が不足することを「インスリン分泌不全」、効きめが悪いことを「インスリン抵抗性」と言います。

間食・早食い・食べ過ぎ…。こんな習慣ないですか?

インスリンの分泌量が不足したり効きめが悪くなったりする原因には、遺伝の他、食べ過ぎや肥満、運動不足、ストレスなど生活習慣の乱れが大きく関係していることがわかっています。

自分では食べ過ぎの意識はなくても、早食いや間食の質や量、回数などによって血糖値が上がってしまうことがあります。早食いは、満腹中枢が働いて「これ以上食べなくてよい」という命令が体に働く前に必要以上に食べてしまいます。また、間食の量や回数が多くなると必要量以上のカロリーを摂取しがちになります。炭水化物や糖質といった、ブドウ糖になる栄養素を多く摂れば血糖値はより上がってしまいます。

食後の血糖値の急上昇を抑える食べ方としては、最初に野菜や海藻、きのこなど(食物繊維を多く含む)から食べ始め、次に肉・魚・乳製品など(タンパク質を多く含む)、最後にご飯やパンなど(炭水化物を多く含む)の順にするとよいことが知られています。

胃で分解された栄養素の多くは腸で吸収されます。食物繊維が先に腸に入ることで、続く食べ物の胃から小腸への移動時間を遅らせたり、小腸での消化・吸収がゆるやかになることで、血糖値の急上昇が抑えられます。

また、食物繊維やタンパク質を先に食べると、「インクレチン」と呼ばれる消化管ホルモンの分泌が促されます。このホルモンには、脳に食欲を抑える司令を出したり、インスリンの分泌を促して血糖値を下げたりする作用があります[3]。

ヨーグルトを食べれば血糖値が下がるの?

ヨーグルトもタンパク質を多く含む食材ですが、最近の研究によって、特にホエイ(乳清)の成分が「インスリン抵抗性」を改善してインスリンの効きめを改善し、食後の血糖値の急上昇を抑えることがわかりました[1]。

インクレチンのうちの「グルカゴン様ペプチド-1」(GLP-1)というホルモンの分泌が、ヨーグルトの摂取によって刺激され、インスリンの分泌が促されるのです[1]。この作用を利用した糖尿病薬もありますので、糖尿病ではないけれども血糖値が心配な人は、ヨーグルトを日常的に食べることで効果が期待できそうです。

腸内環境がよくなることでインスリンの効きめの悪さを改善

ヨーグルトは善玉菌(プロバイオティクス)を多く含んでいるため、腸内の悪玉菌や有害物質の産生を抑えて腸内環境を整え、糖尿病などの生活習慣病予防に効果が期待できる言われています。具体的には、腸内環境を整えることによって「インスリン抵抗性」が改善され、血糖値上昇を抑制する効果があると考えられています[2]。

さらに、ヨーグルトには腸内環境を整えて腸管のバリア機能を高める可能性があるとの報告もあります。順天堂大学の研究チームによると、日本人の2型糖尿病では病態の一つとしてインスリンが作用する臓器の慢性炎症が問題となっています[4]。

同研究チームは、腸内環境の乱れから血液中に流れ出た腸内細菌が慢性炎症を引き起こすリスクとなっていることを指摘しています。そして、生きたまま腸まで届いて腸内環境改善に役立つプロバイオティクスヨーグルトなどを摂取することにより、腸管のバリアを強化し、慢性炎症を抑制できる可能性があるとのことです[4]。

このように、ヨーグルトなど善玉菌を多く含む食べ物で腸内環境をすこやかに整えると、糖尿病や生活習慣病予防にもよい効果を期待できそうです。

ヨーグルトを食べる際のポイント

糖尿病予防にヨーグルトがよい可能性が高いことはわかりましたが、それではどうやって食べるとよいのかをご紹介していきましょう。

まずヨーグルトの種類ですが、基本的にはどのヨーグルトでも大丈夫です。食後の血糖値の上昇を抑える「難消化性デキストリン」を配合している商品もありますので、選ぶときの参考にもできます。ただし、糖分が多いものや高脂肪のものは避けたいところ。無糖だと食べにくいようであれば、果物にかけて食べたり、ドレッシングや冷たいスープにするなど、料理の材料として使う方法もあります。

ヨーグルトを食べる順番は食事の始めに

ヨーグルトは、できれば毎日食べ続けるほうが効果を期待できます。食べる順番は、血糖値のことを考えるなら食前に食べるとよいでしょう。腸内細菌を整えますし、腹持ちもよいのでおやつとしてもおすすめです。

まとめ

ご紹介したように、ヨーグルトには糖尿病予防の効果が期待されていますので、血糖値が気になる方は、おやつをヨーグルトにしてみたりすると良いかもしれません。できれば無糖か糖分控えめのものや、脂肪分ゼロのものを選ぶのが理想ですが、毎日とりたいので食べやすさを優先してもよいでしょう。そのまま食べる以外にもサラダや果物にかけるなど、毎日の食事に無理なくとり入れられる方法で続けてみてください。

参考文献

  1. [1]Daniela Jakubowicz et al. Incretin, insulinotropic and glucose-lowering effects of whey protein pre-load in type 2 diabetes: a randomised clinical trial, Diabetologia 2014; 57(9): 1807-1811
  2. [2]入江潤一郎ほか. 糖尿病・肥満症治療におけるプロバイオティクス,日本医事新報 2017; 4875: 53-53
  3. [3]矢部 大介ほか. "4.食後血糖と栄養素摂取の順番" Jstage. https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/1/59_30/_pdf(参照2018-07-11)
  4. [4]金澤昭雄ほか. "プロバイオティクス飲料の継続摂取が日本人2型糖尿病患者にもたらす効果" 学校法人順天堂.https://www.juntendo.ac.jp/news/20171020-02.html(参照2018-06-13)

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