過敏性腸症候群(IBS)の改善におすすめのヨーグルトレシピ
腹痛や下痢もしくは便秘の悩みが数か月続くこともある過敏性腸症候群(IBS)。その改善や予防にヨーグルトなどのプロバイオティクスは有効なのか、どのように摂取するのがよいのかなどについてご説明します。
常におなかの調子が悪く、便秘や下痢、腹痛に悩まされがちな過敏性腸症候群。食事や生活リズムの乱れ、心理的ストレスなどで症状が悪化することがありますが、原因ははっきりとしていないやっかいな病気です。
そんな過敏性腸症候群には、ヨーグルトなどの発酵食品が症状の軽減に役立つとされています[1]。ここでは、どのようなヨーグルトを選び、どのように食べればよいのか、簡単なアレンジレシピなどもあわせてご紹介します。
過敏性腸症候群(IBS)の改善・予防にヨーグルトは有効?
過敏性腸症候群の症状は食事習慣によって軽減したり、悪くなったりするという特徴があります。特に、ヨーグルトなどの発酵食品が症状の軽減につながることから、日本消化器病学会の「患者さんとご家族のためのガイド」でもおすすめされています[1]。
なぜヨーグルト?どんなタイプがよい?
ヨーグルトは、過敏性腸症候群に有効であるとされる「プロバイオティクス」です。
プロバイオティクスとは、腸内環境を改善することにより私たちの健康に役立つとされる生きた微生物や、それを含む食品のこと。特に、乳酸菌やビフィズス菌などが有名です。プロバイオティクスはコスト負担が少なく、副作用がほとんどないことから、日本消化器病学会による過敏性腸症候群の診療ガイドラインにおいても治療法として用いることが推奨されています[2]。
プロバイオティクスの上手な選び方
プロバイオティクスのヨーグルトを選ぶ基準として、特定保健用食品(トクホ)に注目してみるのもおすすめです。特定保健用食品(トクホ)とは、身体の生理学的機能などに影響をもたらす特定の関与成分が含まれた食品のことであり、消費者庁の許可マークが付けられています。
プロバイオティクスが関与成分となっている特定保健用食品(トクホ)には、「生きたまま腸に届く」「おなかの中のよい菌を増やす」「おなかの調子を整えます」などの表示が認められています。ヨーグルトを選ぶ際の目安にするとよいでしょう。
プロバイオティクスと一緒に摂るとよいもの
腸内でプロバイオティクスの働きを助けるものとして「プレバイオティクス」というものがあります。プレバイオティクスは、胃で消化・吸収されずに腸まで届いてプロバイオティクスの栄養源となり、善玉菌を増やすのに役立ちます。プレバイオティクスに該当するのはオリゴ糖や一部の食物繊維です。それぞれ以下の食材に含まれていますのでヨーグルトと一緒に毎日の食事にとり入れるとよいでしょう。
- オリゴ糖:大豆や玉ネギ、ネギ、アスパラガス、ごぼう、バナナ、にんにくなど
- 食物繊維:野菜や果物、豆類など
過敏性腸症候群(IBS)におすすめのヨーグルトレシピ
ヨーグルトは、温めずそのまま使うのがおすすめです。副菜やデザートにおすすめのレシピをご紹介します。
野菜とビーンズのヨーグルトサラダ(4人分)
プロバイオティクスであるヨーグルトとともに、豆や野菜をたっぷりととり入れましょう。
食材:きゅうり 2本/赤パプリカ 1個/玉ネギ 1/4個/ミックスビーンズ(水煮) 100g/無糖ヨーグルト 150g/マヨネーズ 小さじ4/すりおろしたにんにく 1片分/塩・胡椒 少々
- きゅうりとパプリカは1cm角に、玉ネギはみじん切りに。ミックスピーンズは水洗いしてザルに上げ、水気を切る。
- 無糖ヨーグルトとマヨネーズ、にんにく、塩・胡椒を混ぜ合わせ、ヨーグルトソースを作る。
- 全体を混ぜ合わせてできあがり。
野菜は上記のほか、ミニトマトやセロリ、アボカドなどでもおすすめです。
フルーツヨーグルトパフェ(4人分)
ヨーグルトを果物と一緒にとることができます。順番に材料を入れるだけなのでとても簡単です。
食材:コーンフレーク 大さじ8/ヨーグルト 200g/バナナ 1/2本/キウイフルーツ 1個/オレンジ 1/2個/いちご 2個/お好きなフルーツソース 大さじ8/ミントの葉 適量
- 縦長のグラスにコーンフレークを入れてからヨーグルト20~30gをかけ、フルーツソース大さじ1、残りのヨーグルトを重ねて層にする。
- フルーツをカットして盛り付け、残ったフルーツソースをかけてミントの葉を添える。
ヨーグルトは無糖タイプでも加糖タイプでも構いません。お好みのフルーツや缶詰を、自由に盛り付けてください。
もうひとつの食事療法、低FODMAPダイエットとは
ヨーグルトなどに含まれるプロバイオティクスが過敏性腸症候群の改善に有効であることは上記でご紹介したとおりですが、過敏性腸症候群で悩んでいる人のなかにはプロバイオティクスによる食事療法が体質的に合わない人もいます。
そうした人に最近注目されているのが、「低FODMAPダイエット」と呼ばれる食事法です。これらは大腸で発酵しやすい糖質の摂取を制限するもので、日本消化器病学会の診療ガイドライン内でも欧米を中心に注目されていることが紹介されています[3]。
たとえば牛乳でおなかがゴロゴロしてしまう「乳糖不耐症」の人などは、こちらの食事方法があっているかもしれないため、信頼できるドクターと相談をしたうえでとり入れてみてはいかがでしょうか。
低FODMAPダイエットについては、『過敏性腸症候群(IBS)を食事で改善する方法』でも解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
おなかの不調によって日常生活に支障をきたす過敏性腸症候群の症状軽減には、ヨーグルトなどのプロバイオティクス食品が有効とされています。ヨーグルトには菌の種類などもさまざまあるので、おなかの調子と相談しながら、自分にあったプロバイオティクスを探してみるのがよいでしょう。
また、過敏性腸症候群の予防や症状改善には生活習慣の見直しも大切になってきます。睡眠や休息を十分にとり、規則正しい生活を心がけましょう。症状にストレスが関わっていると考えられる場合でも、お酒やタバコに頼らず、適度な運動をとり入れるなどして自分に合ったリラクゼーション方法を見つけるようにしましょう。
参考文献
- [1]日本消化器病学会ガイドライン. "過敏性腸症候群(IBS)ガイドQ&A" 日本消化器病学会ガイドライン. https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/ibs_3.html#q7(参照2018-07-02)
- [2]日本消化器病学会. "機能性消化管疾患診療ガイドライン2014" 日本消化器病学会. https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/IBSGL2_re.pdf#page=84(参照2018-07-02)
- [3]日本消化器病学会. "機能性消化管疾患診療ガイドライン2014" 日本消化器病学会. https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/IBSGL2_re.pdf#page=80(参照2018-07-02)
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