腸の働き
2017年03月31日更新 2017年03月06日公開

腸の役割と腸内細菌の重要性について

腸は消化吸収や便通に関わるだけでなく、免疫やホルモンバランス、美肌、精神など心身の健康に密接に関わる重要な器官です。ここでは、腸の役割や健康についてドクター監修の記事で解説します。

腸は、毎日の体調や健康状態に関わっており、消化吸収だけではなく、免疫やホルモン精神状態など心身にとっても重要な役割を担っています。腸の働きや腸内細菌の働きなどについて見てみましょう。

腸とは

腸とは、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸・結腸・直腸・肛門)の総称で、主に消化や吸収、排便に関わる器官です。食物は十二指腸や小腸で消化吸収されて大腸に運ばれ、水分を吸収された後に大便として排泄されます。大腸には乳酸菌や大腸菌などの腸内細菌が100種類以上も存在し、食物繊維を分解したり、感染を予防したりする働きがあります。さらに、免疫やホルモンバランス、皮膚、精神など人の健康に関わる重要な役割を担っています。

腸の役割

腸は主に食物の消化による栄養の吸収や排便に関わっていますが、消化吸収、排泄以外にも大切な働きを担っています。しかし、そのほとんどが腸内環境や100種類以上存在する腸内細菌との関わりが影響しています。

免疫力を強化・正常化する役割

腸内環境が整った良好な状態では、人の免疫のおよそ7割を担っている腸内免疫細胞を、腸内にすむ善玉菌が刺激することによって免疫力が強化されます。また、免疫が正常な状態を保つことによって、アレルギー症状などが軽減されます。

感染予防

腸内の善玉菌が有機酸を生成し、それによって腸内環境が酸性化することで、病原菌の減少や悪玉菌の繁殖が抑えられ、病原菌からの感染予防に役立ちます。

必須ビタミンの合成

腸内にすむ善玉菌には、ビタミンB群やビタミンKなどを生成する働きがあります。また、生成されたビタミンB群によって、美肌効果や疲労回復効果に期待できます。

ホルモンバランスのコントロール

GLP-1と呼ばれる消化管ホルモンの分泌や抑制によって、血糖値をコントロールしたり、食欲を抑えたりする作用があります。

アンモニアや硫化水素の生成を抑える

腸内の善玉菌が優勢になることによって悪玉菌が減少し、がんの原因のひとつにもなるアンモニアや硫化水素の生成が抑えられて、がん予防や体臭の軽減に役立つといわれています。

自律神経や精神ネットワーク

消化器官である腸は他の内臓と同様に、自律神経と深く関わっています。不安や緊張などの強いストレスによって自律神経が乱れ、突然に腸が活性化することや腸管が麻痺することにより腸内の水分調整が正常に働かず、下痢や便秘になることがあります。腸には独自の精神ネットワークが構成されており、脳からの指令がない場合でも単独で活動できるといわれています。人だけではなく、多くの動物は脳がストレスを感知すると、下痢や便秘などの症状が現れます。これは脳が腸へ向け自律神経を介してストレスの刺激が伝わるための反応です。精神安定に関わるセロトニンもこのストレスの刺激により、腸内環境が悪化することによって阻害され精神不安やイライラが起ります。また、反対に腸内に病原菌などが発生することによって、脳が不安を感じるなどの調査報告もあり脳と腸には密接な関係があると考えられています。

腸内環境とは

一般に腸内環境とは、人の腸内の細菌のバランスのことをいいますが、健康に有用な善玉菌、有害な悪玉菌、中立な日和見菌に分類されています。腸内環境が優勢になると免疫が強化され健康的になり、美肌効果や肥満予防などのダイエット効果が期待できます。反対に悪玉菌が優勢になると、疲労や体調不良、肌荒れや便秘につながるといわれています。

腸内細菌とは

腸内にはおよそ100種類の細菌が100兆個生息しているといわれています。これらは、酸素のある環境では生き残ることのできない、嫌気性(けんきせい)菌と呼ばれる菌です。人間の腸内細菌は善玉菌と悪玉菌、そしてどちらでもない中間の菌である日和見菌の3グループで成り立っています。これらの3グループの菌は、互いにバランスをとりながら関係しあっています。健康な人の腸の腸内細菌は、中間の菌がいちばん多く、次に善玉菌となり、悪玉菌は少数だといわれます。善玉菌が増殖することで、免疫力が上がり心身ともに健康な状態を保つことができますが、悪玉菌が増殖すると、免疫力が下がり体調不良や病気の原因になります。身体が健康であるには、この腸内細菌の中でもビフィズス菌や乳酸菌など有用な菌の割合を増やすことが大切です。

腸の健康を保つために必要なこと

身体と腸の健康には密接な関係があると考えられますが、腸を健康に保つためには腸内環境を整えることが大切です。腸内環境を整えるためには、悪玉菌の増殖を防ぎ善玉菌を増やすことが大切ですが、善玉菌を増やすには、大きく分けて二通りの方法があります。

食品から直接摂取する方法

ヨーグルトや乳酸菌飲料、漬け物、納豆などの乳酸菌やビフィズス菌を含んだ食品を継続して摂取することで、善玉菌が常に腸内に補充され腸内の善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスが保たれます。

オリゴ糖や植物繊維を摂取する方法

オリゴ糖や食物繊維を摂取することで、腸に善玉菌のエサを送り善玉菌を増殖させて整腸作用を促します。オリゴ糖や植物繊維は、野菜や果物、豆類などに多く含有されており、消化や吸収をされずに大腸に到達し、善玉菌の栄養源になってもともと腸内に生息するビフィズス菌や乳酸菌の増殖を促進します。食品から摂取する以外にも、特定保健用食品などを利用して手軽に効率的に摂取することも可能です。また、食物繊維は便秘予防などの整腸作用や腸内環境を改善させる効果の他にも、血糖値の上昇を抑えたりする働きがあります。その他にも、腸の健康を保つためには、便秘を改善し便性を良好なものにすることが大切です。便秘においては、ビフィズス菌などの善玉菌を腸内に増やすことで、腸内環境が整い改善が期待できます。

腸内細菌は母親から

腸内細菌の個体差は非常に大きく、指紋のように異なります。

また、腸内の粘膜に生着している腸内細菌の種類は、基本的に一生変わることはありません。

おなかの中にいるときの胎児の腸内は、無菌状態。

分娩時に、子どもが母親の産道を通る時に、産道の細菌を飲み込むことで、母親の腸内細菌を受け継ぐことになります。

人は母親の腸内細菌の影響をそのまま受け、それが一生続きます。

帝王切開の場合は、母親の産道を通らないので、生まれてきた子どもは、手術室の細菌のバランスの影響を受けることになります。

細菌の種類を変えることはできませんが、善玉菌を優位にするなどバランスは変えることができます。

腸粘膜を荒らさないよう粘膜ケアをして、善玉菌を増やすことで腸内環境は変えることができます。

抗生剤は腸内細菌のバランスを崩す

抗生剤を飲むと、腸内の悪玉菌だけでなく、善玉菌も殺してしまうことになります。そのため、抗生物質を服用したあとに、便秘や下痢や腹部膨満感などの腹部症状を呈する方もいらっしゃいます。特に腸粘膜が大人に比べて未成熟な乳児は、特に留意する必要があるでしょう。

人工甘味料は腸内細菌のバランスを崩す

2014年、学術誌ネイチャーで、人工甘味料が腸内細菌を介して肥満や糖尿病の発症に影響を与える、という研究結果が発表されています。

人工甘味料サッカリン、スクラロース、アスパルテームを摂取すると、腸内フローラを変化させ、耐糖能異常を引き起こすということがマウスの実験で明らかにされました。人工甘味料で育てたマウスは、糖尿病予備軍、つまり血糖値が下がりにくく、肥満傾向を引き起こす状態になったといえます。

研究チームは、マウスに与えた人工甘味料の大半が吸収されずに腸に到達したことから、腸内細菌に注目しました。

腸内フローラを、全く細菌のないマウスに移植する実験で耐糖能異常が腸内フローラによるものかどうかを調べました。

試験管内で腸内細菌を培養する時に人工甘味料を入れておき、それを細菌のマウスに移植したところ、それだけで耐糖能異常が起こったのです。

一方、ブドウ糖や砂糖入りの水で育てたマウスには、この変化はありませんでした。

これは人工甘味料が腸内フローラに直接作用してバランスを崩したことを示しています。

人においても、人工甘味料を常用している人は明らかに健康な腸内細菌の構成に大きな変化をもたらすことがわかっています。また、ヘモグロビンA1Cの数値が軽度に上昇していること、しかも1週間という短期の摂取でもこの変化が起こっていることがわかりました。

要するに、砂糖の代わりに人工甘味料をとっても糖尿病は改善するばかりか悪化する可能性があり、やせるどころか肥満傾向になる可能性もあります。

人工甘味料は砂糖よりも甘味が強いため、甘いものを食べたいという欲求は一時的に満足させてくれるかもしれません。しかし、とりすぎると、甘味に関する感受性を下げ、物足りなくなり摂取量が増える危険性もあります。また、本当の意味で脳が満足することがないため、むしろ砂糖を少量摂った方が肥満を防げる可能性もあります。

「2週間で体が変わるグルテンフリー健康法」溝口徹著 参照

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