胃腸炎
2017年06月12日更新 2017年03月06日公開

感染性胃腸炎時におけるヨーグルト摂取の注意点

感染性胃腸炎はつらい嘔吐や下痢などの症状がともなう病気です。かかったときには、適切な食事が大切になります。感染性胃腸炎時におけるヨーグルトの注意点について、ドクター監修のもとで詳しくお伝えします。

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腹痛や下痢、嘔吐など、つらい胃腸症状をともなう感染性胃腸炎にかかったときには、適切な対処が重要です。中でも食事療法は、弱った胃腸を回復させるためにも必要不可欠だと考えられています。 食べることで胃腸を整えるという観点で関心を高めているのが、「プロバイオティクス」です[1]。プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌などのような腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:腸内に生育している細菌の集合のこと)によい変化をもたらす菌のことです。食事療法においてプロバイオティクスを取り入れる方法として、ヨーグルトを食べるときの注意点についてご紹介します。

感染性胃腸炎時のヨーグルトの摂取について

海外では、感染性胃腸炎になった子どもを対象に、ヨーグルト摂取の有用性を調べた研究が行われています[2]。そこでヨーグルトに期待される効果とあわせて、感染性胃腸炎時におけるヨーグルト摂取の注意点について解説していきましょう。

ヨーグルトは腸内環境を整える

ヨーグルトにはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が多く含まれています。腸内に善玉菌が増えると、悪玉菌の増殖を抑制して腸内環境を良好に保ちます。この腸内環境の調節により免疫力を高める身体づくりに効果がみられ、細菌性感染性胃腸炎などの病気にかかりにくくなると期待できます。善玉菌は継続して摂取することが効果的とされ、毎日摂取することが望ましいとされています[3]。その点、ヨーグルトは毎日摂取しやすい食品と考えられます。

下痢・嘔吐時にはおすすめできない

ヨーグルトは腸内環境を整えるのに効果的ではありますが、下痢や嘔吐などの症状がみられる場合にはおすすめできません。これはヨーグルトに脂肪分が多く含まれているからです。脂肪分が多い食べ物は胃内への貯留時間が長く、胃腸への負担も大きいため、避けたほうがよいでしょう。

感染性胃腸炎時には消化のよいものを食べる

下痢や嘔吐などの胃腸症状をともなう感染性胃腸炎にかかったときには、適切な対処法により症状が軽く済む場合があります。感染性胃腸炎にかかった場合、食事をするのは困難なことが多くありますが、まったく食べないと回復しにくくなります。消化のよいものを少しずつ食べていくのがよいといわれています。

消化のよい食品

感染性胃腸炎のときには食物繊維が少ない食品や、脂質が少ない食品もおすすめです。穀物類や卵、脂質の少ない肉や魚などがよいでしょう。また、水分を摂取する場合は常温か、人肌くらいに温めておくと身体への負担が少なくてすみます。

調理・食事のポイント

調理時にはしっかりと火を通し、柔らかくしましょう。野菜や肉などは、小さめに切ります。香辛料や味付けの濃い食事は、胃酸の分泌を高めるので控えます。ゆっくりとよく噛んで、胃腸に負担をかけないように心がけましょう。食べた後はゆっくり休息し、身体と胃腸を休めることも大切です。

感染性胃腸炎時の食事の例

主食にはお粥や煮込みうどんがいいでしょう。柔らかく、温かい食べ物は、胃腸への負担を軽減します。また、白身魚を煮たものや、薄味の野菜スープもおすすめです。様子をみながら、ゼリーなどの間食をしてもいいでしょう。

感染性胃腸炎の種類と症状

感染性胃腸炎は細菌、ウイルス、寄生虫など、さまざまな原因で引き起こされます[4]。 原因となるウイルスとしては、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどがあげられます。

ノロウイルス

日本における感染性胃腸炎のうち、原因として最も多く報告されているウイルスです[5]。特に冬場に多く発生し、集団感染をも引き起こすため、特に学校や会社などでは注意喚起がなされています。

おう吐、下痢、腹痛などの症状がみられ、通常1~2日程度で回復しますが、子どもや高齢者、他にも病気がある場合などでは重症化することがあるので注意が必要です。

一方、原因となる細菌としては、カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなどがあげられます。

カンピロバクター腸炎

細菌性の胃腸炎の中でも、近年もっとも頻度が高いのがカンピロバクター腸炎です[6]。特に、鶏肉に多く存在しているとされています。潜伏期間は1~7日、経過は比較的良好だといわれています。まれに、四肢麻痺などの症状が起こるギラン・バレー症候群が合併症として発症することがあるので注意が必要です。

サルモネラ胃腸炎

サルモネラ胃腸炎は肉類や生卵のほか、ミドリガメなどのペットから感染するとされています[7]。潜伏期間は半日~3日程度と短いですが、症状は比較的重いとされています。1週間程度で回復に向かうことがほとんどですが、まれに血液に菌が入り込む敗血症を併発することがあります[8]。

病原性大腸菌感染症

O157などの腸管出血性大腸菌感染症と呼ばれるタイプの感染症は、強い胃腸炎症状がみられるので特に注意が必要です。大腸菌は主に牛などの家畜の腸内に存在しますが、多くは害のないものです。一方、病原性大腸菌は人に下痢などの症状を引き起こすもので、主に飲食物から感染します[9]。少量の菌でも感染し、人から人への二次感染も起こることがあります。潜伏期間は3~8日ですが、溶血性尿毒症症候群や脳症などの危険度の高い合併症を引き起こす可能性がある[10]ので、感染した場合は注意しなくてはなりません。

聞きなれない菌が多いと思いますが、腹痛や下痢などの胃腸症状が現れた場合は、重症化する前に、医療機関を受診しましょう。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. “乳酸菌(にゅうさんきん)” e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-026.html(参照2017-05-31)
  2. [2]Szajewska H, et al. Meta-analysis: Lactobacillus GG for treating acute gastroenteritis in children--updated analysis of randomised controlled trials, Aliment Pharmacol Ther. 2013; 38(5): 467-476
  3. [3]清水純. “腸内細菌と健康” e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html(参照2017-05-31)
  4. [4]国立感染症研究所. 感染性胃腸炎とは” 国立感染症研究所. http://www.niid.go.jp/niid/ja/encycropedia/392-encyclopedia/383-intestinal-intro.html(参照2017-05-30)
  5. [5]国立感染症研究所. ノロウイルス等検出速報” 国立感染症研究所. https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-noro.html(参照2017-05-30)
  6. [6]厚生労働省. カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)” 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html(参照2017-05-30)
  7. [7]厚生労働省. サルモネラ症について(ミドリガメ等のハ虫類の取扱いに関するQ&A)” 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/salmonella_qa.html(参照2017-05-30)
  8. [8]横浜市. サルモネラ感染症(食中毒)について” 横浜市衛生研究所. http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/salmon1.html (参照2017-05-30)
  9. [9]関西空港検疫所. "腸管出血性大腸菌感染症" 関西空港検疫所. http://www.forth.go.jp/keneki/kanku/disease/dis04_10ent.html(参照2017-05-30)
  10. [10]品川邦汎ほか. “腸管出血性大腸菌による食中毒(腸管出血性大腸菌Q&A)” 厚生労働省. http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/index.html(参照2017-05-30)

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