感染症
2017年03月21日更新 2017年03月16日公開

乳酸菌はピロリ菌除去にも役立つ!?

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、体内のピロリ菌を除去する効果が期待されています。ここでは、ピロリ菌感染症の基礎知識、ピロリ菌を除去する方法、乳酸菌がピロリ菌にあたえる影響などを、ドクター監修の記事で解説します。

ヨーグルトには、多くの生きた乳酸菌が含まれています。乳酸菌は、腸内環境を整える善玉菌の1つとして知られていますが、胃炎などを引き起すピロリ菌の除去にも関係しているといわれています。乳酸菌がどのようにピロリ菌へ作用をするのか、ピロリ菌感染の基礎知識とともに解説します。

ピロリ菌感染症とは

ピロリ菌感染症とは、ピロリ菌に感染している状態のことをいいます。ピロリ菌(正式名称ヘリコバクター・ピロリ)は、約30年前に発見された胃の中に生息する細菌のことです。通常の細菌は、胃の中では胃酸で死滅し生きていけませんが、ピロリ菌はアンモニアのバリアで自らを守り、胃の粘膜に住みつきます。ピロリ菌は、胃や十二指腸の病気を引き起こす原因の1つとされ、腸などを含む消化管の病気との関連について研究が続けられてきました。

その結果、ピロリ菌は消化管の他にも、全身に影響をあたえることが明らかになり、これまで原因がわからず治療が難しいとされてきた難病の中には、ピロリ菌を除去することで改善する病気もある可能性が出てきました。このような経緯から、病気の症状の程度にかかわらず、検査でピロリ菌に感染していることがわかれば、ピロリ菌感染症の診断が下されて、除去(除菌)を行うという考えが広まってきました。

ピロリ菌感染症の多い年代

日本でのピロリ菌感染者は、60歳以上の年代に多く見られることが特徴です。この背景には、戦後の上下水道の衛生環境などが関係していると考えられています。ピロリ菌は、免疫力が低い5歳までに感染すると、一生感染が続くことも多く、大人が感染することはほとんどないといわれています。

ピロリ菌の除去で期待できる効果とは

ピロリ菌を除去することで得られる効果には、慢性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫などの再発を抑えることが期待できます。さらに、早期の胃がんや、原因不明で血小板が減少し出血しやすくなる血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)などの病気の改善や再発予防にメリットがあるといわれます。ただし、基本的にはピロリ菌が見つかれば除去をした方がよいとされますが、病気の症状が出ていない段階でのピロリ菌の除去は、症例が少ないため正しい処置とはいいきれないところもあります。

ピロリ菌によるリスクを回避する方法

ピロリ菌によるリスクを回避するためには、まず病院でピロリ菌感染の検査を受けることが必要です。検査の結果から、ピロリ菌が確認されると、薬を使った除菌治療が行われます。ピロリ菌の除去には、2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制薬の3剤が使われます。この薬を朝夕の1日2回、決められた時間に1週間続けて服用しましょう。除菌治療が終了してからピロリ菌感染の再検査を行い、ピロリ菌の反応が現れなければ除去ができたと判定されます。

除菌治療でピロリ菌を除去できる成功率は、7~8割といわれており、治療を終えた後の検査でピロリ菌が見つかった場合は、ドクターと相談のうえ抗生物質の種類を変えて、再び治療を行うことも可能です。そして、最終的には約95%の確率でピロリ菌の除去ができるといわれています。

ピロリ菌の除菌治療で現れる副作用

薬を使用したピロリ菌の除去治療では、約3割の人に副作用による体調不良が現れたという報告があります。ピロリ菌の除去で服薬を行う期間は1週間とはいえ、通常の2倍の抗生物質を服用する必要があるため、消化管の常在菌を破壊して、下痢や軟便などを引き起こすこともあるからです。副作用の症状が軽い場合は、整腸剤などと組み合わせて、治療を進めることになります。

ピロリ菌の除菌が期待される乳酸菌の効果

ピロリ菌の除去に役立つ身近な食品の研究が進められた結果、ヨーグルトに含まれる乳酸菌に関心が寄せられるようになりました。ヨーグルトには、さまざまな乳酸菌が含まれていますが、その中でもLG21と呼ばれる乳酸菌の抗菌作用は、ピロリ菌の殺菌に効果があるといわれています。さらに、人の胃は胃酸の影響で、連鎖球菌やラクトバシラス属乳酸菌など、限られた常在菌しか存在できませんが、耐酸性に優れたLG21は、胃酸で死滅することなく働くため、ピロリ菌感染症治療に大きな期待が持てると考えられています。

LG21がピロリ菌にあたえる影響

ピロリ菌の感染者に対してLG21の有効性を調査した結果では、8週間にわたり1カップあたり約10億のLG21を含むヨーグルトを食べ続けたところ、80%以上の確率でピロリ菌の数が減少したことが確認されたといわれます。その結果から、乳酸菌のLG21を含むヨーグルトは、ピロリ菌による胃の粘膜の炎症を抑えて、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などのリスクを下げることが期待されるようになりました。しかし、LG21はピロリ菌の数を減らす効果は期待できても、完全に除去ができるという化学的根拠は見つかっていません。ピロリ菌の除去には、やはり抗生物質がもっとも効果的だといわれていますが、除菌治療で服用する抗生物質とLG21を一緒に用いた場合では、下痢や軟便などの副作用の軽減にLG21は役立つとされています。

今すぐ読みたい

「感染症」の関連情報

記事カテゴリ

注目情報

ピックアップ特集

fem.

fem.ヘルスケアが

もっと手軽にアプリで登場!

今日できる。今すぐできる。

健康・キレイ情報を毎日おとどけ。

app-store
google-play